2006年10月 9日 (月)

さよなら、フランソア

朝起きて、荷物をまとめ、食堂へ。関西空港までは、ホテルの送迎バスに乗って行きます。

自分の荷物は殆どないのですが、困ったのは、フランソアの菅笠と杖。考えて、宅配便で我が家に送ろうとしました。長いものと丸いもの、どうやっても一つにならなくて、フロントの人に手伝ってもらい、段ボール箱を二つも使い、ようやく何とか宅配便ぽい形に。送迎バスの発車時間ぎりぎりまで、ばたばたしました。

空港では、たっぷり時間があったので、しばらくまたおしゃべり。

「ほんとにRにはよくしてもらった。すごく感謝してる。今度はあなたがフランスを歩く番だね。ちゃんとアテンドするからね。」

そう、このアートプレイヤー巡礼(遍路)の旅は、交換プロジェクトなのです。この次は私がフランスからスペインへと続くコンポステッラの道を、巻貝を下げて歩く番。だけど...

自信がありません。歩く自信もないし、体力も心配だし、それにもう一つ、フランソアみたいにきれいに上手に写真が取れるかしら。小さなアート作品を作る自信はあるのです。でも、それを上手にカメラで撮る自信がない...

様々な心配をよそに、フランソアは2008年頃かな、などと言っています。どうなることやら。

そんなこんなでとうとう時間になり、

「じゃ、いつかまたどこかで、日本か、フランスか、オーストラリアで!」

フランソアはゲートの向こうに消えました。私たちのプロジェクト、「フランソアの遍路行」も、どうやら終わりそう。写真展をやりたいし、本にして出版したいけれど、それはまだもう少し先の話です。では、それまで皆様ごきげんよう!

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2006年10月 8日 (日)

大阪での再会その2

翌日、二人で近くの大阪城を見物しました。足が痛いフランソアと、昨夜興奮のあまりなかなか寝付けなかった私と、共にコンディションは最悪でしたが、とにかく何か少しは観光らしいこともしなけりゃ、と思ったのでした。

勢い込んでいろいろ聞き出そうとした昨日より、ふらふら歩いて思いつくままに会話している今日のほうが、案外本音トーク満載で、楽しかったです。

「大阪で電車の中、遍路の格好を見て笑う人がいたよ。」「そうだと思うわ。大阪では珍しいもの。」そういえば、普通は遍路が終わると、遍路支度をといて、帰途に着くそうです。そんなことも、フランソアに話すのを忘れていたな、と思う次第。日本人なら、言わなくてもわかることも、きちんと伝えなかった私のせい。

「温泉で、R(私の名前)に習ったとおり、まずかけ湯して、全身をよく洗ってから中に入った。けど日本人達、さっとかけ湯だけして入っちゃった。後から出て洗ったりしてた。どうしてだろう?」「どうしてかしらね。」何かその人達の弁明をする気にもなれず...

「本当にすばらしい景色だった、険しい山道も、海も、いつも空海と一緒だった。」

「空海や、僕の前にこの同じ道を歩いた大勢の遍路の先輩達が導いてくれた。」

「それからここに(と自分の胸を指し)、いつもRが一緒に居た。」

ありがとう。でも、実際に歩いたのはフランソア、あなたです。あなたの経験はあくまであなた一人のもの。私は只、毎日歩いているあなたを想像して、心配したり連絡がくるとほっとしたり、今頃はこの辺かなと地図を見たり、勝手にあなたの歩き遍路に自分をダブらせて、どきどきしていました。

そしてもう一つ、ありがとう、とってもきれいな作品写真を送ってくれて。あなたの素直な感動が、まっすぐに伝わってくる写真です。

昼頃、気温は高くなり、フランソアの足は耐え難く痛くなり、預けていたホテルの荷物を取って、次の目的地、関西空港の近くの日根野まで移動するのに、初めて駅までタクシーを拾いました。フランソアはやや観光客モードに移行しつつあり、お土産の心配。崇高な意識の(?)お遍路さんも、畢竟は人の子。孫達に葉書を出すのだと、うちわの形のカードを探していました。

お遍路さんといえば、お接待。みかんのお接待を受けたり、おにぎりを頂いたり。善根宿(無料で泊まれる宿)には、1回だけ泊まり、同じく無料で泊めてくれるお寺さんが2箇所あったそうです。最近は善根宿もめっきり少なくなったらしいのです。

割りに多いのは、車に乗せてあげましょう、と言うお接待。元気溌剌の時は困るけど、へとへとになっている時声をかけてもらえると、本当に地獄に仏という気持ちらしいです。宿の場所を尋ねると、そこまで案内してくれたり、電話をかけてくれたり、迎えに来てくれたり。

そしてこの日の夜は、最高にゴージャスなお接待を、日根野の友人夫妻に受けました。おいしいお酒と中華料理、英会話も弾んで、すばらしい日本最後のディナーとなりました。Sさんご夫妻、ありがとうございました。

明日はいよいよ関西空港でさよならする日。長くなってきたので、またにします。

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2006年10月 6日 (金)

大阪での再会

この前のブログからずいぶん日にちが経ってしまいました。さて、今夜こそ、大阪でのフランソアとの感動の再会を書こうと思います。

大阪で、共に手元不如意の二人は、スーパーホテルという激安ホテルを約束の場所に決めました。激安で、しかもとても清潔で、朝ごはんまで付いていて、レディースはおみやげまであり、(これは開店2周年とやらの記念でしたが) 大満足の宿でした。そこにフランソアは一足先に入っており、次の日私が合流しました。

「あれ、フランソアさんはご一緒じゃなかったんですか?」とフロントの人に聞かれ、

「もうすぐ帰ってくると思います。私は今日、今大阪に着いたので。あのー、フランソアはあの格好でチェックインしましたか?つまり、その、笠に杖で。」

「ええ、ええ!」

フロントの女性と顔を見合わせて笑っているところへ、当のフランソアが帰ってきました。思ったより元気そうな様子に、まずは、ほーーーーーーーーっ。

「げんきそうでよかった、聞きたいことがたくさんあるのよ、フランソア。」

それからずーっと、しゃべったり、互いの資料を見せ合ったり、時間がいくらあっても足りない感じでしたが、夜の9時過ぎ、ひどく疲れているのを思い出して、ではこのつづきはまたあした、とそれぞれの部屋へ。

四国で、やはり一番大変だったのは、道を間違えないようにすることと、宿を確保すること。それと体調、特に足の痛みが辛かったようです。

「四国の宿は、全く、値段と質が一致しないんだ。一番快適だった所は5000円だったけど、一番最低に汚くてひどかった所は8000円もしたよ。」

一応フランソアから、何月何日はどこに泊まり、どこからどこまで歩き、どこの景色がどんなにきれいで、どこでどんなに親切にされたうれしかったか、どこで誰に出会ったか、何に感動したか、いろいろ聞きました。

「マジック」と言う言葉と、「イリュージョン」と言う説明。この二つが言葉の端々に出てくる、最多出場英単語。

マジックのようにきれいな景色、山もきれい、海も素敵。日本語的には「うそみたいにきれい。」でしょうか...

山の中で、空海と、その後遍路した大勢の人々と、一緒に歩いていた、ほんとにそういう気持ちだった、空海が導いてくれている気がした、イリュージョンなんだろうけれどね。

とまあ、こんな具合です。今夜はこれくらいにして、明日また続きを書きましょう。

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2006年9月26日 (火)

フランソアの遍路行終了

9月23日、フランソアの遍路行は、第三十八番札所金剛福寺で、終わりました。とにもかくにも、足摺岬まで行ったのです。よく頑張りました、ほんとに。

途中もう足が痛くて進めない、という時もありましたが、よく耐えて、目的とした所まで行きました。そして何より、一番大切な目的、「アートの祈り」を、随所で作り、写真にすることができたのは、本当にすばらしいことでした。

機会がありましたら、ぜひ写真展を開きたいものです。また、さらに機会がありましたら、彼の写真と素敵なコメントをまとめて、本の形にしたいものです。

大阪で感動的に再会を果たして、それからの3日間、ゆっくり話を聞きました。詳細は明日にします。今夜は私も少し疲れているので。。。では、また明日の報告をお楽しみに。

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2006年9月23日 (土)

フランソアの遍路行12

遍路行はいよいよ終わり、今、フランソアは大阪へ向かう列車の中です。

結局最後は少し電車やバスも使ったけれど、ともかく足摺岬まで行けたようです。

お世話になった四国の皆さん、ほんとうにありがとうございました!

フランソアに成り代わり、心よりお礼申し上げます。

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2006年9月21日 (木)

フランソアの遍路行その11

もう歩けない、値段の高いホテルに着いて、もうこれ以上歩けない...

明日は最も美しくて険しい所を歩き、それ以外はバスか電車に乗ろう...

金剛福寺の岬(足摺岬)からフェリーで大阪に行こうと思うけど、どう思いますか?

というフランソアのメール。

調べてもそういうルートのフェリーはないので、高速バスを勧める。

その後、自分でもそういうフェリーが無い事をJRの駅で聞いて本人も納得。

青龍寺、岩本寺、金剛福寺、と、歩きと乗り物と両方で廻って、今回の遍路を終わりにするつもりらしい。

長い遍路の間に、フランソアと出会い、親切にしてくださったその土地土地のみなさん、

ありがとうございました。フランソアに成り代わり、心より御礼申し上げます。

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2006年9月18日 (月)

フランソアの遍路行その10

9月18日。ちょっと弱気なフランソア。第三十一番札所竹林寺に着きました。今朝道に迷って4キロも余計に歩いてしまいました。もうそろそろ止めたい...少し早めに関西空港に迎えに来てくれないですか? 続けることはできるけど、でもあんまり面白い道じゃないし...もしOKなら航空券を早いものに変えようかな。フランソア

31番札所の辺りは高知市内で、景色もあまり面白くないのでしょう。

でもまたその次のメールで、

心配かけてごめん、頑張って続けてみる。航空券のチェンジやあなたの予定の変更など、めんどくさそうだし。

と言ってきました。

どうか、高知市内を歩いているフランソアを見かけたら、励ましの一言をお願いします!

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フランソアの遍路行その9

しおさん、コメントありがとうございます。フランソアは無事に室戸岬を通過しました。

9月15日。琴が浜を過ぎ、夜須(やす)町当たりの小さな漁村を見渡す素敵な簡素な旅館にいます。明日、二十八番札所大日寺まで歩き、二十九番札所国分寺の手前の温泉に行こうと思います。膝の具合がまだ悪いので。次は多分三十二番札所善事峰寺まで海岸沿いを戻ろうと思います。F.

9月16日。台風が近づいていて、バケツをひっくり返したような雨です。第二十八番札所大日寺まで歩き、蛇のように曲がりくねった道を10キロほど歩き、第二十九番札所国分寺へ。そこから3キロ先の温泉旅館は満室なので、お坊さんの助言に従って別の宿の人に車で迎えに来てもらいました。そうして今ここにいます。台風は明日まで続くそうです。わたしはここに2泊するつもりです、宿のオーナーはプロのマッサージ師なので、私の膝の痛みをとってくれるかも知れない!期待してます。フランソア

17日。景色がきれいです! まだ台風の通過を待っています。明日は朝早く出ようと思います。お休みなさい。フランソア

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2006年9月13日 (水)

フランソアの遍路行その8

大変お待たせしました。フランソアはいよいよ徳島県(阿波の国)-発心の道場ーを出て、高知県(土佐の国)-修業の道場ーに入りました。

ではまず今までの経緯から。

十一番札所と十二番札所の間で宿を探している所まででした。

九月五日、12時ごろ、十三番札所大日寺に着きました。

「全て順調」 そしてたくさんの作品写真が送られてきました。

それから突然七日にもらったメールは、

「道に迷って6キロも余計に歩いた。」と。

どうにか第十八番札所恩山寺を見つけ、第十九番札所立江寺の宿坊にたどり着きました。明日はいよいよ「遍路ころがし」の難所です。

「どうか祈ってください!少なくとも車には乗りたくない!フランソア」

九日のメールでは。

「お祈りの応援をありがとう。今日は全く、きちがいじみた一日だったよ。朝7時前に十九番を出て、予約してあったホテルに十時ごろ着いた。実に壮大な景色だったけど、きつかった。十九番へののぼりはまるで夢のようだったよ、下りのひどい辛さに比べたら!

それから遍路の中でも最もきつい第二十番札所鶴林寺への上り道!12個のアートを作り、時間がなくなって、最後の500メートルの険しい階段を走って登り、納経所に転がり込んで御報印をいただく。

その僧侶に聞くと、なんと私が今夜泊まるはずの宿はまだ5キロも先だった!それも険しい下り坂で。ありがたいことにロープウェイがあって、電話で待っててもらって乗ったんだ。ロープウェイの運転手さんが親切にロープウェイのすぐ下の旅館を取ってくれた。なぜって予約してあった宿は山の反対側だったんだ。このロープウェイのふもとの名もない宿は、最近泊まったどこより安くて快適だった。それに温泉があって、二度も入ったよ。

壊れた体を直すのにちょうどいいね。あしたはゆっくり休もうと思う。ロープウェイでまたお寺に戻って、ゆっくり降りて前に予約した旅館に泊まろうと思う。神なる自然にアートの祈りを。」

その後もまだまだメールは続くのですが、あとは彼のアートプレイヤー(アートの祈り)に関することなので省きます。メールで、しかもアルファベットで、こんなに長く書くのは大変です。最後にこう書いてあります。

「それにしてもこの書き方は本当に消耗する...もう寝ます、お休みなさい、フランソア。」

そのあと。

「とても体調が悪いです。第二十一番札所大龍寺で眠った後は、休んでいません、でも頑張って大二十二番札所平等寺へ行きます。フランソア。」

九月十日。フランソアは、ただ今までに送った写真のことを心配して聞いています。いまのところ、フランソアにとって命の次に大事なのはこの作品写真です。私にとっても。

唐突に九月十二日。

「宍喰から尾崎の民宿へ、たくさん歩いた。多分27キロくらい。宿まで後1キロという時、ああどうぞ民宿まで私を飛ばせてと祈ったら、車がやって来て止まったんだ。

私とおんなじ気違い野郎の船乗りが、最御崎寺まで行くから乗せてくれると言ってる。なんて不思議な偶然だろう。私は1キロだけ乗せてもらうことにする。

めちゃめちゃ歩いた結末は、右足首の激しい痛み!あまりの痛さに左足の痛みを忘れるくらい!はは!海岸や漁師の村や海へと続く山々は最高にきれいで感動的。全く違う魅力だけどおんなじ位強く心を揺さぶります。

たった一つ困ることは車が多いこと。

あすは岬を廻って最御崎寺へ。もしかしたらそこの宿坊に二泊するかもしれない。どうなるかな?お休み、フランソア。」

ここに出てくる船乗り云々は、フランソアがふだんオーストラリアで船で暮らしているからです。自分と同じ「気違いセーラーマン」と出会って、喜んでるフランソアが目に浮かびます。

私は比企で合宿中。今こっそり家に帰ってきて急いでこれを書いています。今夜は比企にもう帰れないので、たまっていたフランソアのメールを思い切ってまとめて訳してみました。

長々と読んでくださってありがとうございます。

何度も言いますが、フランソアのアートプレイヤー(アートの祈り)は、16日より比企郡鳩山町の東京電機大学で展示します。是非直接「フランソアのアート遍路」ご覧になってください。

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2006年9月 4日 (月)

フランソアの遍路行その7

午前十一時半、電話が鳴りました。フランソアから。

「おみやま(?)の紹介でやってきた宿のおくさんが、何か言っている。理解できなくて困っている。」「それじゃその人に電話を代わってちょうだい。」

「はい、そちらどなたさん?」

「そこにいるのはフランソアといって、オーストラリアに住んでるフランス人です。今歩き遍路で廻っています。何か聞かれてわからなくて困っている、と言うので、通訳します。」

「はあー、どなたさんかね。」

「フランソアの遍路を(サポートしていると言いかけて止める)助けているものです。フランソアがあなたの言うことがわからない、と言っているので。彼に何を聞いたのでしょうか?」

「夕べはどこに泊まりんさったかね。」

「フランソア、夕べはどこに泊まったの?」

「おみやま」

「そこで次の宿の紹介をしてもらったのね?」

「そう。」

「それとねー、まだ十一時半だけど、もう泊まられるんかね。」

「少し疲れているのでゆっくりしたいのだそうです。」

何だか双方不思議そうな顔をしている様子が目に浮かびます。

民宿のオバサンは、ほんとに紹介を受けてやってきた人なのかどうか、こんなに早くチェックインするなんていいのだろうか、と不思議がっているのでしょう。

フランソアはフランソアで、オバサンが一体何を不思議がっているのかがさっぱりわからない、どうしてすんなり宿に入れてくれないのか、不思議なのです。

やれやれ。

ここは第十二番札所焼山寺と、十三番札所大日寺の間の、山の中。少しゆっくり、作品を作ったりそれを私に送ったりしたいので、歩くのを早めに切り上げたのでした。

今日は送られてきた写真をマイフォトにアップします。

いよいよあすから「国際野外の表現展2006 比企」が始まります。私も合宿生活に入りますが、ココログは続けますので、どうぞよろしく。

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